山崎明子

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■専門分野

7図1視覚文化論、視覚表象とジェンダー、イメージの生成と社会システム

■担当科目

視覚文化論・視覚文化論演習

■研究テーマ

私たちは日常的にたくさんの視覚表象に取り囲まれて暮らしています。それらは小さなイラストや写真・絵画からマスメディア、そして都市空間を占めるイメージまで広く、多様です。視覚イメージは何らかの意味をもち、私たちはそれを意識的/無意識的に読み取ることもあるし、時には読み取れなくて素通りすることもあります。私たちが暮らす社会は、これら多くの視覚イメージの集合体です。私たちは視覚表象と日々向き合い、「意味」を読み取り、そして新たな視覚表象を生み出してもいます。

私の研究は、こうした視覚イメージが誰によって、何の目的で作られ、そして消費されるのかを読み解いていくものです。視覚イメージの生成と消費には、多くの社会の制度が関わり、その営みを支えています。たとえば、教育や産業、政治、経済はもちろんのこと、ジェンダーや社会階層なども私たちの視覚システムを規定しているのです。

その意味で、近現代のアートやマスメディア、地域のアートコミュニティ、美術教育の歴史などの多様なメディアシステムの中で作られてきたイメージ群が私のフィールドです。ひとつひとつのイメージの中に見る小さなひっかかりが、今の自分と視覚文化システムの関係を考える契機となって、複雑に絡み合った「意味」を読み、そしてほぐしていく・・・そんな研究だと思っています。

02YAMAまた、数年来関心を持ってきたことの一つに、「手芸」という営みがあります。「美術」という視覚の制度の中で周縁化されながら、生活の中に息づいてきた「手芸」は、視覚文化やものづくりをめぐる社会制度を考える上で、とても面白い位置にあります。ものづくりにもまた、社会制度が深く関わり、「意味」の世界を構築していきます。そして、私たちは現在進行形でこうした意味の世界の中を生きているわけです。

日常的に目にしているイメージとどのように向き合い、いかに主体的に交渉していけるのか――それは、視覚イメージに取り囲まれて生きる私たちにとって、とても大切な課題ではないでしょうか。

■ゼミ生の研究テーマ

物語としての予告篇/広告としての予告篇-映画『ブラック・スワン』の予告篇に関する一試論-
現代社会における大人のガチャガチャ-過去化した「未来」を消費する大人たち-
アイドルイメージと視覚的欲望の操作-AKB48「Beginner」の残酷な表象とPV改変問題-
「真琴アート」における少女イコンの再編-高橋真琴の原画作品の表象分析から-
近年の宝塚歌劇にみるポストモダン的傾向-大きな物語の喪失と新たな男役像の創出-
生理用品のコマーシャルにみる女性疎外-男性による領域侵犯の社会的意味-
手芸による癒しとコミュニティの再生-「集まって行われる手芸」の意味と社会的機能について-
山口小夜子の表象による「日本イメージ」の再編-1970年代の資生堂ポスターを中心に-
現代女性が求める「自分だけの旅」-『るるぶ』と『タビハナ』の比較表象分析を中心に-
教育玩具を通してみる近代の家庭教育-土井子供くらし館のコレクションを中心に-
女子体育教育における洋舞受容とその普及-ダンス「ファウスト」を中心に-
雑誌付録を欲望する現代の若者-女性雑誌の付録を中心に-
中原淳一における戦前・戦中の少女身体イメージの転換-慰問絵葉書を中心に-
メディアミックス社会における感情コード-顔文字表象とマンガ文化-

研究業績

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〇著書から

1 『交錯する知―衣装・信仰・女性―』2014/03/09、思文閣出版、498-518

2 着衣する身体と女性の周縁化 2012/04/10、思文閣出版、402-419、脇田晴子他

3 ひとはなぜ乳房を求めるのか 危機の時代のジェンダー表象、2011/08、青弓社、7-22、64-92、207-213、山崎明子他4名

4 女性とたばこの文化誌 ジェンダー規範と表象、2011/03、世織書房、113-134、149-214、舘かおる他7名

5 『視覚表象と音楽』ジェンダー史叢書第4巻、2010/02、明石書店、pp.279-298

6 「日本女性史叢書」第5巻下田歌子著『日本の女性』復刻解説、2007、クレス出版、1-6

7 『近代日本の「手芸」とジェンダー』2005/10、世織書房

8 「青鞜の表紙絵」『『青鞜』を読む』1998/11、學芸書林、pp.402-423