井口研究室では2015年度の卒業論文をまとめた冊子『Raíz』のvol.5を発刊いたしました。生活文化学科の共通図書室で見ることができます。

冊子版とCDロム版

冊子版とCDロム版

本誌では、卒論の内容、ゼミの雰囲気などを感じ取ることができます。在学生は卒論やゼミ選択の参考に、受験生の方たちはオープンキャンパスに来て、ぜひごらんになってください。

(※なお、vol.4も研究室で見ることができます。2011年度から2013年度までの卒論をテーマごと3冊に分けて作ったvol.3までもオープンキャンパスに見られるようにしておきたいと思いますので、ご関心のある方はごらんください。本研究室の2011年度卒業生からの卒論タイトル一覧は、井口研究室のページに掲載しております。

vol.5の「はじめに」および目次は下記になります。
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○はじめに

本研究室の教員である井口が2011年5月に着任してから、家族社会学・家族関係論研究室は2016年3月で5回目の卒業生を送り出すこととなった。今年度の卒業生は5名であり、この5年間で卒論を書いて卒業していった人たちは22名におよぶ。

本論文集は、5号目(vol.5)となるが、2014年に、vol.3までを3年分の卒業生の論文をテーマごとに編集する形で創刊した後、昨年度から年度ごとの刊行となった。教員自身が運営してきたゼミを振り返るため、また、卒業生がかつて居た場所を振り返るため、そしてこれからゼミに関わっていく人たちが、新しい場所を作っていくための資源とすることを第一の目的に編んでいる。もちろん、他の教員、親兄弟、友人、地域の人たちなど、広く大学外の人たちに自分たちのやってきたことを見せるためのものでもあり、様々な人たちから、ご感想やご批判などをいただけるととてもありがたい。

本研究室は、教員の担当科目名から一応は家族社会学・家族関係学を名乗っているが、結果的には、狭い意味での家族に限らず、さまざまなことに関心を持ち、幅広い題材で卒論を書く人たちが集まってきている。それは、教員のバックグラウンドが「出来事を正面から扱う」(佐藤俊樹2011『社会学の方法』ミネルヴァ書房)社会学であることに由来するのかもしれない。だが、さまざまと言っても、一昨年から卒論を並べて編纂を始めてみたところ、そこに集まった人たちの志向に由来するのか、教員の指導の癖に由来するのかは分からないが、何となくゼミのカラーが見えてきたような気がする。今回のvol.5は、教員が専門とする医療や福祉系の研究を含みつつ、インタビュー調査、新聞記事分析、調査票調査など、教員が担当している社会学や社会調査の授業内容を踏まえた作品群となっているように思う。

タイトルとしたRaízは、「根っこ」という意味のスペイン語である。そこには、ゼミでの卒論を書くという経験が人生の「根っこ」の一つとなっていてほしいという願いが込められている。卒論は、大学生活のごくごく一部である。しかし、大学生活において、確実に形として残る「作品」でもある。ある人にとっては楽しい思い出であり、ある人にとっては後悔や赤面とともに思い出すものかもしれない。卒業生たちには、自身の歴史を物語るための「根っこ」としてこの論文集を位置づけてもらいたい。…などと言うと、大げさだが、つまりは、家族の中、職場、合コンなどで、自分を語る際の「ネタ」の一つとして使ってくださいよ、ということであるし(笑)、一緒にゼミをやっていた仲間たちをふとした時に思い出すための「手がかり」ともして欲しいということである。

なお、蛇足だが、スペイン語は母音が日本語とほぼ同じでとっつきやすく、雑誌名Raízは「ライス」と読む。かつて思想家・社会学者の真木悠介は「共同体」の理想を、一つ一つの米粒が独立しているが全体として一つの形を成している「おにぎり」に見た。卒業生にとっても現ゼミ生にとっても、そして未来のゼミ生にとっても、このゼミがふんわりとしたおいしそうな「おにぎり」になっていってくれることを願って。

2016年3月24日  井口高志(奈良女子大学生活環境学部生活文化学科教員)

○目次

はじめに

第1部:卒業論文集

Vol.5所収論文の解説

Ⅰ.発達障害児をもつ母親の障害認知タイプと支援ニーズに関する研究

Ⅱ.精神障害の親を持つ子どもに対するセルフヘルプグループの効果とその課題

―「三重 子どもの集い・交流会」への参加とインタビュー調査から―

Ⅲ.養子縁組型同族企業の優位性―同族企業Sのケーススタディーから―

Ⅳ.名付け批判の起源としての「悪魔ちゃん」事件―二紙の新聞記事分析から―

Ⅴ.女子大学生の家庭の食卓に対する意識と影響要因―奈良女子大生への調査票調査を中心に―

第2部:ゼミの記録

Ⅵ.2014~2015年度のゼミ記録

Ⅶ.井口配布のレジュメ・メールの抜粋

Ⅷ.卒論発表会レジュメ

Ⅸ.教員エッセイ(謝辞の人間学①、社会学の二つの極点)

おわりに

Raíz バックナンバー

井口ゼミ卒業生2011~2015年度

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